そして悪玉は結託した

1955年、ジューネーブで開催されたWHO=世界保健機関の会議で、キーズは脂肪とコレステロールに罪を着せたスピーチを行った。

これを視聴していた、カリフォルニア大学バークレー校の生物統計学部の創設者ヤルーシャルミーは、なんとも首をかしげてしまった。

例えば、会議の開催されているジューネーブでは、市民は動物性脂肪の多い食生活でありながら、心臓病動物性脂肪の多い食生活でありながら、心臓病での死亡率はほとんど無きに等しい。

スイスだけでなく、西ドイツやフランス、スウェーデン、ノルウェイ、デンマークでも同様で、キーズの主張しているような飽和脂肪酸=心臓病が当てはまらない。

 

そこでヤルーシャルミーは、この時期で調査可能な22カ国を調べ、1957年に調査報告書をニューヨーク州ジャーナル・オブ・メディスンに発表した。

そこではキーズの調査報告をした6カ国のうち、心臓病の多い国には喫煙率の高さ、砂糖と肉の消費、自動車排気ガスの多さ、つまり豊かな国であるという共通点があり、それらが心臓病への原因である。

その証拠に、普段から飽和脂肪酸を多く摂取しているスイスやフランスなど、心臓病での死亡率が皆無に等しい。と。

しかも、キーズは調査可能な国22カ国中、6カ国しか報告していない。

 

2年前に名声を得て有頂天であったろうキーズは、これを聞いて怒り心頭し、別の機関紙に反撃の声明を発表する。

そこでは、これらの国々の国家統計など頼りにならない。特に、戦後間もなく移り変わりの激しいヨーロッパ各国の政府の統計など欠陥だらけだ。と。

とは言え、それから7年後の1964年でのアメリカの心臓病診断率は、イギリスより33%も多く、ノルウェイよりも50%も多く、ヤルーシャルミーの発表したデータと何ら変わることは無かった。

 

しかしながらキーズは、ヤルーシャルミーの報告書を覆すべく新たな調査に踏み切る。

その名も「7カ国研究」で、対象国はイタリア、ギリシア、ユーゴスラビア、オランダ、フィンランド、日本、アメリカであった。

ヤルーシャルミーの22カ国に対してたったの7カ国、しかもヤルーシャルミーが指摘したフランスやスイス、ノルウェイなどは全くの無視。

それに加え、国から20万ドル-1ドル=360円、7200万円。この頃の日本では菓子パン10円、県立高校の月謝400円。(YAHOO知恵袋より参照)-もの多額の奨励金をもらっての話しであるから、詮ずる所は国家対ヤルーシャルミーの対決であり、その結果は、現在にみられる通り、成人病の世界的な蔓延となったのである。

 

つまりコレステロールは、純粋で公正な調査データを基に評価されたのではなく、一部の執着心の強い科学者が、自身の信じて疑わない仮説を押し通し、成長著しい食品会社や企業、政治家が絡み、自身の利益のためにバックアップをして、全世界の市民を洗脳し続けてきた、誤解の塊であったのだ。

これによって、一体何人の人が健康を損ね、尊い命を失ってきたことであろうか?

しかもこの間違った知識は、未だ多くの人々を洗脳し続け、生命の危機にさらしている。

 

何よりも名声を求めたキーズは、結局は悪名を歴史に刻み付けたのだった。

(参考文献『The Big Fat Surprise』By Nina Teicholz. Scribe Publications.2014)

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