ケトンの起源

ところで、ケトジェニック・ダイエットの起源というものを問うならば、狩猟採集時代のご先祖さまの昔にまでさかのぼれるが、その頃はケトン体やブドウ糖を研究する器具や施設が無かったと思うだが、ご先祖さまたちは、季節ごとに口にする食料と内面の変化から、直観的になにかを掴んでいたと想像する。

科学的なケトン体の発見や、ダイエットの体系化は近代のもので、まずはケトン=Ketoneとのその言葉・物質の発見の由来を調べてみた。

NCBI (National Centre for Biotechnology Information=米国立生物工学情報センター)の2003年の記事に『ケトン:代謝の醜いアヒルの子』というのがあり、簡単な説明文があった。

それによれば、19世紀半ばに糖尿病患者の尿からケトンが発見され、それから約50年間危険視されたというから、1型糖尿病のケトアシドーシスであったのだろうと推察できる。

この時代に2型糖尿病はまれであり、19世紀の終わりから1921年のインスリン発見まで、ケトン食(70%脂質+22%蛋白質+8%炭水化物)を糖尿病患者に施していたが、インスリン発見後はどこも食事療法を止めたことから、20世紀半ばまでの糖尿病患者とは、そのほとんどが1型に当たると思って間違いないであろう。

語源辞書で「Ketone」を検索すれば、1848年にドイツの化学者レオポルド・グメリン= Leopold Gmelin (1788-1853) がフランス語のアセトン=acetoneからドイツ語 aketonと訳し、1851年にKetone となったようであるから、NCBIの記事はこのことを省いたものであると推測する。

 

ここでNCBIの記事に戻れば、その後1920年代に小児てんかんの食事療法として使用され、1967年に脳がブドウ糖とは別にケトン体を使用することが発見されたとの文であるが、これまた、数々の事象を省いた内容になっている。

19世紀の終わりから高脂肪・低炭水化物食を、糖尿病の治療食として用いていたと先に紹介したが、この時点ではケトジェニック・ダイエットとは呼ばれていなかった。

ケトジェニック・ダイエットとの名称が付けられたのは、小児てんかんの治療食として適用され出す1921年のことである。

20世紀の初めに、小児てんかんの治療法としては「断食療法」が主に行われていた。

西洋医学の祖ヒポクラテスは、ただ断食だけがてんかん治療に適していると記録しているようで、これを素にと言い切れるほど、1900年初頭は調査を兼ねながらも「断食療法」が頻繁に施術されていた。

数人の医師たちの試行錯誤が繰り返され、1921年に断食中の患者からケトン基である、アセトン、アセト酢酸、ベータ・ハイドロキシ酪酸が見つかったことが報告され、これを受けたメイヨー・クリニックのラッセル・ワイルダー博士が、ケトジェニック・ダイエットは断食と同様の効果があることに着眼し、それから研究を積み重ねて1924年に公式にケトジェニック・ダイエット療法を発表した。

この時に発表された栄養素の比率は、脂質4:蛋白質+炭水化物1で、これが現在に見られるケトジェニック・ダイエットの比率でもある。

例えば体重20キロの子供の1日の摂取量は、1キロにつき1グラムの蛋白質で20グラム。

炭水化物は10-15グラムで、10グラム。

よって体重20キロの栄養素の摂取量は、脂質120グラムの蛋白質20グラム、炭水化物10グラムであった。

1940年代にてんかんの治療薬が開発されたが、この薬は小児てんかんには効果が発揮されないことが多く、副作用なども考慮すれば、ケトジェニック・ダイエットが小児にとっては最適な治療法であるようだ。

 

次に1967年の、脳はブドウ糖と同様に、ケトン体を代謝することの発見については、アトキンス博士の書籍に

「ハーバード大学のジョージ・ケイヒル博士が発表した研究報告によると、脳細胞はブドウ糖よりもケトン体を好むそうで、ケトン体の方が脳内では吸収されやすいそうです。」(『アトキンス博士のローカーボダイエット』より引用)

と紹介されている。

先に紹介した、1924年のラッセル・ワイルダー博士のケトジェニック・ダイエットの発見は、治療食としてのケトジェニック・ダイエットを公式にし、次に1967年のジョージ・ケイヒル博士の脂肪代謝の発見が、現在に見られるケトジェニック・ダイエットの世界的な波及の原点とも言え、ジョージ・ケイヒル博士の下からケトン体に関しての研究が現代までに、人知られずに続けられてきたのだ。

 

そしてNCBI記事の最後には、ケトンは糖代謝よりも脳と神経により良くエネルギーを供給できるので、パーキンソン病やアルツハイマー病の予防克服に効能があり、今後様々な病気の予防・治療に期待されているような旨となっている。

このNCBIの記事は2003年と古いもので、現在ではパーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、生活習慣病、ガン、うつ病などなど、耳にするほとんどの病気が糖分の過剰摂取が原因であり、副作用の無いケトジェニック・ダイエットがその治療法であることは、年を追うごとに証明され出してきているものだ。

 

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