オキシトシン

内容

1.エッセンシャル

2.ホルモン・オブ・LOVE

 

1.エッセンシャル

 

アイルランドの5月は、中等学校(中学&高校)の卒業式の月でした。(小学校は6月です)

卒業式は4年生と6年生が対象で、今年は保護者の参加が無く、学校によって様々ですが、勤務先の

学校は野外で卒業式が行われました。

6年生の式典は幸運にも晴天に見舞われ、荒波の社会へと気持ちの良い出発を迎えることができましたが、4年生は残念なことに気まぐれな風雨に見舞われてしまいました。

 

アイルランドでは、昨年はどこの学校も卒業式が開催されなかったとの、前代未聞の歴史を刻みました。

自分も去年修学した栄養&健康指導士学校でも、全てオンライン講義で、校長先生いわく「開校以来初めてスクーリング(=生徒と会うこと)も無く、賞状授与式も開催できない」と、その異例さに驚嘆されていたのを昨日のことのように覚えております。

 

また、異例と言えば、在留邦人も呆気にとられるほど、日本では「ロックダウン」や「クラスター」、「ソーシャルディスタンス」「ゴートゥー」などとやたらと横文字が使用されていますね。

このブログのテーマである「エッセンシャル(ワーカー)」までも使用されていて、個人的には「どこの西洋かぶれ」が命名したのか、自国の言葉を使用せずに他人の国語を使用して、恰好つけているつもりなのか?国賊なのか?といぶかり、あまり良い印象はありません。が、本土日本国民は、もう横文字には慣れていると察して話を進ませていただきます。

 

「エッセンシャル;Essential」は、栄養学の勉強中によく「Essential Nutrient; 必須栄養素」や「Essential Amino Acid; 必須アミノ酸」、「Essential Fatty Acid; 必須脂肪酸」などと登場し、個人的には馴染み深い言葉で、今回のコロナ禍のアイルランドでも、「エッセンシャルワーカー」と驚いたことに日本と同じ表現が使用され、個人的には「必須労働者」と訳していました。

日本では一般的に「必要不可欠な労働者」と訳され(初めから左の言葉を使えば良いだろうに)、その職種は;

医療……医師、看護師、薬剤師 など
福祉……介護士、保育士 など
農業・食品……農家、食品加工・生産業者 など
運送・物流……トラックドライバー、宅配業者 など
小売・販売……スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなどの店員
インフラ……電気・ガス・水道・通信などライフラインの保全、公共交通機関の運転手 など
公務員……保健所職員、市役所・区役所の窓口業務 など
金融……銀行・信用金庫の窓口業務 など

(「人の役に立つ仕事をしたい! 今注目のエッセンシャルワーカーとは」センチュリー21 https://www.century21japan.co.jp/flowers/article/20210125d.htmlより引用)

 

これらの職種はアイルランドでも似たものであります。

このことから、「コロナ禍以来ちょくちょくご無沙汰しているな」と懐かしんでいる散髪屋さんやレストラン、ジムなどは、不必要・ノンエッセンシャルの部類に押し込まれ、いわゆる職種の自然淘汰の対象であると言えるぐらい、世界中で酷な状況に陥っているものです。

さらに酷なことを言えば、生きていく上で必要なものではなく、どちらかと言えば贅沢なもので、この1年余で、人によってはアンエッセンシャルの不在に慣らされ、自身で何とかできるとその方途を発見したり、「生活に本当に必要なもの」を考えさせられ、ちょっとした心の変革と社会的断捨離を迫られた時期であると言えるかもしれません。

当の自分も、髪を娘に切らせたり自分で切ったりすることに慣れ、トレーニングなどはもとからジム無しでも充分に訓練でき、かえって価値的に運動できる方途を発見し、せっかく資格を取得したにも関わらず、運動生理学的にはジムやパーソナルトレーナーなど必要無いと断言できる極論にも達してしまいました。

健康のための運動は、週に1回・20分ほどの筋トレ週に1回・1分間のHIITで充分であると言うことなのですが、このことに関しては後日紹介いたします。

 

しかしながら、現今のノンエッセンシャルワークは、本当にノンエッセンシャルなのでしょうか?

個人的には、ノンエッセンシャルでは無く、逆にエッセンシャルなものであると信じ、時と共に証明されるものと信じています。

現状は感染対策として突如枠にはめられた職種であって、ノンエッセンシャルと言い切れるほどのまともな科学的データは存在していないまま、とりあえず生贄にされたものであると思うのです。

 

現に最近のスペインの研究では、バルセロナで5千人がマスクやソーシャルディスタンス無しでコンサートに参加。

それから14日後の検査では、たった6人だけに感染ポジティブが診られたとのことでした。

またオランダでも1500人を対象に似たような調査が行われ、感染者はネガティブが多数であったとの結果が発表されています。

「No sign of infection after test concert in Spain, researchers say」BBC https://www.bbc.com/news/world-europe-56899764

「Covid: Barcelona hosts large gig after testing crowd」BBC https://www.bbc.com/news/world-europe-56556451

「Covid restrictions: Can music festivals be safely planned?」BBC https://www.bbc.com/news/av/world-europe-56462200

 

[Same-day SARS-CoV-2 antigen test screening in an indoor mass-gathering live music event: a randomised controlled trial]

http://www.thelancet-press.com/embargo/musicfestival.pdf

 

加えて、飲み屋やレストラン、ジムなどがエッセンシャルであることは、もうすでに我々の体の中で証明されているものなのです。

人間は社交的動物であり、人との交わりが無ければ心身の健康を損ねるものです。

自分のようにシグマ的傾向も含め、人は人と交わる中でオキシトシンと言うホルモンを脳から分泌することが100年以上も前に発見されています。

オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれ、当初は母親特有のものと信じられていましたが、昨今の研究によって、誰しも簡単に分泌できることが確認され、抗ストレス作用、免疫力アップなどが報告されています。

この生理的反応からして、人が交流する場であるレストランやジム、散髪屋などは必要不可欠な職種であると断言でき、健康のため、ストレス発散のため、または感染防止の免疫力アップのためにもエッセンシャルワークであるのです。

 

それでは真のノンエッセンシャルは何でしょうか?

それは、真相を伝達しないバイアスで浅薄なマスコミと、それに踊らされ常に庶民を苦しめる決断を下す政治屋たちであり、その政治屋を選んだ無知な一部の民衆、マスコミやお上、白衣の権威を丸ごと信じ、疑って自ら学ぼうとしない平和ボケした「怠け心」であると思うのです。

 

2.ホルモン・オブ・LOVE

 

ホルモン・オブ・ラブ;愛情ホルモンことオキシトシンは、1906年イギリスの脳科学者ヘンリー・デールによって発見されました。

出産時に視床下部からオキシトシンが分泌され、子宮収縮が促され陣痛・分娩が始まり、出産後は赤ちゃんがお母さんの乳を吸うことが刺激となって、オキシトシンが分泌され母乳の分泌が促進されることから、当初は「お母さんのホルモン」と認識されていたようです。

以来ラット実験などを通して、以下の効能が発見されました。

  • 抗ストレス作用;ストレスに晒された時、脳内では視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)が放出され、ストレスホルモンのコルチゾールを分泌します。そして、アドレナリンも分泌されストレスに対応する状態になりますが、ストレスが重なり長引けば、交感神経(緊張)を刺激し続け緊張状態から抜け切れず、血圧が高くなったり胃腸障害を誘発したりと、ストレスによる障害や体調不良が生じます。

そこでオキシトシンの抗ストレス作用として、同じ視床下部からオキシトシンが分泌されることによって、このストレスの大本であるCRFの分泌が減るのです

これによってコルチゾールが減り、コルチゾール起因の血圧・血糖値が下がり、胃腸障害やストレス性便秘の改善などに繋がるわけです。

  • 自律神経調節作用;上に関連してオキシトシンは副交感神経(リラックス)を高め、自律神経のバランスを回復させます。
  • 免疫力アップ;コルチゾールが減ることによって、免疫力がアップします。(過剰なコルチゾール/ストレスは免疫力を低下させると同時に、海馬を委縮させ記憶力や計画性に悪影響を及ぼします。)
  • 鎮痛作用;オキシトシン分泌は、中脳水道周囲灰白質からオピオイドの分泌を促し、鎮痛作用となります。
  • 抗不安作用;オキシトシン⇨偏桃体⇨GABA(ガンマアミノ酪酸)の分泌=抗不安作用
  • 抗うつ作用;オキシトシン⇨側坐核⇨セロトニンの分泌=抗うつ作用

 

このような健康促進の効果と同時に、ありがたいことに、誰でも日常生活でオキシトシンを分泌していることも発見されました。

加えて、オキシトシンを増やすことは至って簡単なことで、その要素は感覚的刺激心理的刺激の2点があり、以下に詳しく紹介いたします。

1.感覚的刺激(五感からの刺激)

  • 触覚

ハグや撫でなで等の触れ合い行為、人やペット等のスキンシップ。

セックス・性器や子宮頚管部への刺激・性的絶頂感等も血漿中オキシトシン濃度を上げます。

  • 視覚

自然風景や名画・芸術鑑賞、ほっこり映像。

家族や親しい人、好きな人を見ることもオキシトシン分泌となります。

  • 聴覚

心が落ち着く音楽、または好きな音楽。

人の声(もちろんポジティブな声です)も刺激となり、対話・会話やおしゃべりも含まれます。

  • 味覚

自分の食べたいものを食べる。

お腹が空いたら食べる。

  • 嗅覚

香料、アロマオイル(セラピー)、好きな香水、料理のおいしそうな香り。

 

2.心理的刺激

・能動的刺激;愛する。共感する。理解する。思いやる。助ける。

・受動的刺激;愛される。共感される。理解される。思いやられる。助けられる。

能動的刺激と受動的刺激は相互関係にあればオキシトシン分泌を倍増させるかもしれませんが、相互関係に無くても、いわゆる片思いまたは一歩通行の能動的刺激であっても、オキシトシンは充分に分泌されます。

 

次に、感覚的刺激と心理的刺激を含め、上には紹介していないもので、故意的にオキシトシンを分泌させる方法を紹介します。

  • 断食
  • 腹式呼吸・その他の呼吸法
  • 瞑想・マインドフルネス
  • ヨガ
  • 気功・太極拳
  • 音楽;演奏・歌・合唱・鑑賞・コンサート
  • マッサージ・鍼灸など代替補完医療
  • 祈り・読経・唱題

 

つまり、気分や気持ちが良くなることが、オキシトシン分泌に繋がるということです。

 

殊に最後の祈りに関しては、人類元初の無垢な行動である「祈る」ことからオキシトシンは分泌されるのであって、決して特定の宗教を問うのではなく、かえって全ての宗教に見られる祈祷に通じていることであります。

祈っている時、脳内では脳内快感物質と呼ばれるβエンドルフィン、ドーパミン、オキシトシンが分泌されます。

ペンシルベニア大学のチベット僧を被験者とした研究では、瞑想が深まった時の脳内では、自己と他者の違いを認識する方向定位連合野の活動が抑えられることを確認しました。

つまり、深い祈りや瞑想の境地は、自と他の境界が無くなり、時空を超えた超越体験に導くわけです。

この自己と他者の境界が無くなる生化学的現象は、ボランティア活動などの救済援助活動にも通ずるものと思います。

利他の心や祈り、行動がオキシトシンを嫌でも増やすということで、その逆として、他人を蹴落として成功する等、人の不幸を願ったり祈ったりと言うのは、むしろ祈りとは言わずに呪いと言えるでしょう。

そして、憎悪や妬みなどのネガティブな思いを抱き続ければ、脳内ではオキシトシンでは無くバゾプレッシンと呼ばれるホルモンが同じ視床下部より分泌され、オキシトシンとは真逆な影響を心身に及ぼします。

つまり、生化学的にも愛と憎悪は表裏一体で、視床下部を共通の源とするとは、なんとも深いものがあると感嘆してしまいます。

 

次回は、憎悪のホルモン・バゾプレッシンも絡めて、昨今の東西に見られる社会現象を考察したいと思います。

 

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