WHMを1年続けて

 

WHMとはWim Hof Method;ヴィム・ホフ・メソッドの略で、オランダのヨギ;ヨガ行者、ヴィム・ホフが開発した健康法です。

これまで冷水療法に関して『ケトン人2』やブログで紹介してきましたが、WHMは冷水浴と呼吸法、瞑想法があり、これらは科学的に調査が行われ、驚くべき体の反応が確認されています。

「肉体改造実験」http://kiyohisaf.com/2020/03/18/%e8%82%89%e4%bd%93%e6%94%b9%e9%80%a0%e5%ae%9f%e9%a8%93/#%EF%BC%9C%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%82%B1%E3%83%88%E3%83%B3%E4%BA%BA%EF%BC%9E

「寒さは妙薬」https://ameblo.jp/kiyohisaf/entry-12649469724.html 

 

自分は冷水浴と呼吸法を1年間実践してきました。

冷水浴と呼吸法には、十分な瞑想的要素を含んでいるので、瞑想法は省きました。

以下、冷水と呼吸の科学を紹介し、最後に感想を述べます。

 

冷水浴はミトコンドリア生合成や褐色脂肪細胞の増加、血行促進などを起こし、体の修復を行います。

アスリートが練習後に、氷の浮かんだ冷水風呂に浸かっているのは、体の修復・回復の為なんですね。

冷水や寒気に体を晒すことで体温が急低下することを受けて、「このままでは低体温症となって死に至る」と体は判断して、体温を上げようとエネルギーを燃焼して熱を作るわけです。

それと同時に、「体が傷んでいたのではこの危機を乗り超えられない」として、弱っている部位をできるだけ修復しようと自然治癒力が爆発するのです。

 

次にヴィム・ホフの呼吸法ですが、この呼吸法はハイパーベンチレーション;過換気呼吸法で、深く早い呼吸を繰り返すことによって、血中に酸素過多・二酸化炭素不足の状態を起こすわけです[i]

すると、赤血球が増えて、増えた赤血球は酸素を抱え込んで、細胞に分け与えなくしてしまいます。

これによって、血液はアルカリ性に傾き、アルカリ濃度が増えたことを受けて、延髄と大脳皮質がそれぞれ相反した反応を起こすようです。

まず延髄は、呼吸を停止させて血中の二酸化炭素量を増やそうとするのに対し、大脳皮質はこの異常事態に対して呼吸を増やそうとする。

これによって、つま先や指先、唇のしびれ、めまいを感じたり、頭がボーっとしたり、気を失ったり、呼吸を引き伸ばすことに繋がるのです[ii]

いわゆる過呼吸症候群や、精神的な原因で起こる過換気症候群に似た症状、または低酸素症のような症状を誘発するわけですが、病理的要因で起きたものではなく、コントロールの及ぶ範囲で誘発させた状態なので、息絶えることはありません。

しかし、人によってはヴィム・ホフ呼吸の実践中に気を失うケースがあるので、プールや風呂内、運転中または機械操作中での呼吸法は厳禁とされています。

個人的には手や足のしびれや、体温の低下または上昇をしばしば感じ、耳鳴りなどは毎回体験していて、幸い気を失ったことはありませんが、一応、気を失っても安全なように、床やベッドに寝転ぶか、壁に寄りかかって周囲には何も無い空間を作って呼吸法を実践しています。

 

WHMの呼吸法で注目に値することと同時に、個人的に試してみようと決めたきっかけは、2014年にオランダのラドバウド大学で行われた研究結果で、この研究ではヴィムを含めた24人の被験者を2グループに分け、ヴィムの介入グループは10日間のメソッド訓練を行い、実験では被験者全員に大腸菌;E. coliを少量注入しました[iii][iv]

1時間半後に、吐き気、頭痛、悪寒、筋肉や背中の痛み等の症状がピークに達したのですが、トレーニング介入グループでは、56%もの症状の軽減が見られ、ヴィムを含む数人は大腸菌の症状は全く感じられず、回復もコントロールグループよりも早かったようです。

そして、この内実は、アルカローシスと低酸素症により、血漿エピネフリン(アドレナリン)レベルが大幅に上昇し、抗炎症性サイトカインのインターロイキン10(IL-10)が、コントロールグループに比べて200%も増加し、炎症誘発性メディエーターであるTNF-α、IL-6、IL-8のレベルがコントロールグループに比べて50%低下したとのことです[v]

殊にIL-10 は、感染性、炎症性、自己免疫性の病態予防に、重要な役割を果たすサイトカインで、早い話しが、過換気呼吸法は免疫力を意識的に上げる作用があると言うことです[vi]

 

更に驚くことに、この呼吸法は自律神経(交感神経)を意図的にコントロールできるとの、従来の常識を覆したことであります。

更に、筋トレなどのきついワークアウト後に、冷水はもちろんのこと、呼吸法を行うことによって回復を早めることもできるのです[vii]

更に、この呼吸法演習時に脳をスキャンした結果、4年間マインドフルネスを毎日4時間実践した人でも達することのできない脳の深部まで到達することができるとのこと[viii]

と、まだまだたくさんの効能が、科学的に解明されています。

 

ヴィムはこの呼吸法を、チベット仏教僧のツンモ;火の呼吸から発展させたようです[ix]

ツンモは過換気呼吸法を行う瞑想技術で、丹田辺りにストーブや炎が赫々と燃え盛るイメージを保ち、時に肛門を閉めたりして、呼吸と想像と極小な体の動きを組み合わせて、意図的に体温を上げる瞑想法です。

 

さて、これらを1年間続けた感想として、朝の冷水は心身共にスカッとさせ、エネルギーが溢れ、新鮮にその日のスタートを切ることは確かであり、筋肉痛などの痛みが以前よりも減り、冬の寒さを痛いと感じることが無くなりました。

呼吸法は、体の痛んだ部分がわかり、修理を行い、心身ともに深く落ち着くことは否めませんし、なによりも意識が深くなります。

人の出入りが多い職柄、時として風邪気味かなと思われる日が2・3ありましたが、呼吸法によって全てが正常になりスッキリした経験もあり、トレーニング後の呼吸では、緊張し、軽く痛みを抱いている部分が軽く痙攣して、痛みが消え楽になる体験は日常的なものとなっています。

特にフォームローラー後の呼吸は良い組み合わせであることを発見しました。

ヴィム・ホフ・メソッドは、かなりパワフルな健康術であり、強く推薦すると共に、自身も実践し続けていくものであります。

[i] 「ハイパーベンチレーション」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

 

[ii] 「過呼吸」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E5%91%BC%E5%90%B8

 

[iii] Voluntary activation of the sympathetic nervous system and attenuation of the innate immune response in humans」2014 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4034215/

 

[iv] 「Involvement of Lactate and Pyruvate in the Anti-Inflammatory Effects Exerted by Voluntary Activation of the Sympathetic Nervous System」2020 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7652234/

 

[v] 「The Science Behind The Wim Hof Method」https://www.wimhofmethod.com/science

[vi] 「IL-10 抗体」https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/anti-il-10-antibody-pgi.asp?entry_id=37210

 

[vii] 「Workout Recovery」https://www.wimhofmethod.com/workout-recovery

 

[viii]「 Wim Hof and Jordan Peterson on The Mikhaila Peterson Podcast #36」(59分20秒)https://www.youtube.com/watch?v=W8ALm2M09qA 

 

[ix] 「ICEMAN病気にならない体のつくりかた」ヴィム・ホフ、コエン・デ=ヨング著、小川彩子訳、サンマーク出版、2018年

 

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