時代に乗る(5月29日)

The Irish Times より

https://www.irishtimes.com/news/politics/abortion-referendum

Together for Yes より

https://www.repealeight.ie/background-to-eighth-amendment/

 

日本国憲法9条の改正を囁かれてから久しい気がするが、ここアイルランドでは35年に渡って、ある憲法の改正が叫ばれ続け、5月25日金曜日の国民投票において、ついに改正される結果となった。

その改正案は「妊娠中絶」である。

 

カトリックの教義上、中絶は絶対に禁止であり違法であるとの見方が大半であろうが、避妊はかなり前から公認であり、同性愛者の結婚も2015年に公認された経歴がある。

1983年より、胎児に母親と同様の生存の権利を与えたことは聞こえが良いが、現実はもっとドロドロしたもので、レイプや近親相姦、胎児や母体が命の危機に瀕していても(母親の自殺願望または行為は除く)、中絶をすれば犯罪者となり14年ものムショ暮らしが待っていた。

2012年に、インド出身のサヴィータ・ハラッパナーバー夫人が亡くなり、文字通り元も子もない事故が取り沙汰された時に、まるで嵐のようにアイルランドに中絶論争が吹き荒れた。

今年になって、中絶Yea/No のキャンペーンが起こる矢先に、北アイルランドでラグビー選手に対するレイプの裁判訴訟が行われ、結局訴えられた側に無罪が確定した。

これを受けて、吾人の友人は某SNSサイトで、「レイプをした野郎どもは、ムショに送られることはなく、中絶をした女性は14年もの終身刑が科せられるのが、アイルランドだ」と言うようなきつく風刺した投稿をし、吾人は関心しながら「いいね」してしまったものだ。

しかしながらハラッパナーバー夫人の死は無駄にはならず、6年越しにして中絶を認める国民が過半数を上回った。

 

 

面白いことに、この中絶犯罪の憲法は、1861年のイギリス統治の下で施行されたもので、占領国のよそ者が押し付けた憲法を150年以上も律儀に遵守し、それを押し付けた側は1967年の当の昔に改正しているのに、押し付けられた側は宗教教義に絡み合わせて頑固に時代に逆らってきた。

ここで思い当たる方もいるかもしれないが、日本の論争になっている平和憲法も、実に上記の前例に似ている節がありはしないか?

今回の憲法改正選挙の結果を見て、イギリスから独立して100年にも満たないアイルランドは、日を追うごとに独自の判断で時代に乗っかり、まるで一番乗りでもしたような独立の雄叫びを上げているような感に打たれた。

この国は確実に成長している。

追伸

「catholics-who-voted-yes-should-consider-confession-says-bishop」The Irish times より

上の結果を受けてカソリックの司教が、”Yes”に投票したことは罪なので、懺悔をすることを考慮すべきだと脅していた。

キリスト教というものは愛の宗教であるべきはずが、現実は罪の宗教で、中世から僧侶は庶民に罪を押し付け脅しをかけてきた。

しかし今回の結果で、人心は明らかに成長し、新しい価値観が芽生えていることを明示していると思う。

 

 

Pocket
LINEで送る
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 時代に乗る(5月29日)