神話は真話?(2月16日)

『The Irish Post』より

最近石器人のDNAを解析した結果、最初のアイルランド島の住民は、縮れ毛の茶か黒の肌をした、青い目をした人たちと発表された。

隣のイギリスで、1903年に発見された石器人「チェダーマン」の骨から解析を行ったようで、このニュースを受けて、アイルランドのトリニティ-カレッジのダン・ブラッドリー教授によれば、アイルランドでも同様な結果が出たとのことだ。

アイルランド国立博物館との共同調査で、6000年前の人骨2体、チェダーマンと同時代人のDNAを解析した結果は、有色人であったのだ。

チェダーマンも含め、これらの人々は氷河期の終わりごろに、スペイン、またはルクセンブルグかハンガリーから、舟で渡来した可能性が高いとのことだ。

 

不思議なのは、拙著『アイルランドのウサギたち』でも述べたが、神話によればケルト人以前の住民には様々な種族が登場し消えていくのであるが、スペインから舟で到着した種族がいくつか存在している。

また世界中の神話に記述されている大洪水など、氷が溶けて海水が上昇する氷河期の終わりを示唆し、チェダーマンたちの移動もちょうどこの時期と推測されるところに、やはり神話と言うものは、単なる作り話ではないことに行き当たるのだ。

 

拙著『アイルランドの雑記帳』でも述べたが、ケルト人がこの島に渡来した時には、すでにニューグレンジや巨石モニュメントが存在していて、神話では魔術軍団のダナーン神族が創作したとされる。

考古学では、ニューグレンジの製造者にエジプト人説が過去に囁かれたが、炭素14観測によって、エジプトのピラミッドよりもニューグレンジの方が古いとの数値が出て、科学の進歩がかえって歴史の謎とミステリーの霧を濃くしてくれた。

ケルト神話では、巨石文化を興したのはダナーン神族とされ、このダナーン族だけに「神」の字が使用されている。

世界中の神話を見れば、国や人以前に神が登場するのであるが、アイルランドでは土地はすでに存在し、人も入れ替わり立ち代わりした後で、神々の軍団が雲に乗って登場するのだ。

世界では元初に登場した神々が、時と場所を移してアイルランドに登場し、鉄細工の達人ケルト人には勝てないとのことで、常若の国へと神々は煙を巻いて隠れてしまう。

世界の神話で、ほとんど共通していると言えることに、鉄の登場によって神々の登場数が減っていき、半神半人からついには人が主人公へと代わっていくことで、アイルランドのユニークな神話の存在は、世界の神話になにか結び付けられるような理屈と、史実を示唆するような信憑性が宿っているように思えるのだ。

また、全世界の神話や伝説を寄せ集め、共通点を結び付けていけば、なにか得体の知れない像が浮かび上がってくるものと信じている。

 

巨石文化から鉄器時代への変遷は、鉄の発見によって資源発掘がはじまり、時代を経るに従って鉱山を掘り起こし、空洞化して地球の地質変化をもたらした。

近代に聞かれる環境破壊は、実にこの鉄の発見から根を張っていて、目に見えない電磁場のバランスを何千年もかけて崩し、近年に至って海水や地表、大気の汚染と破壊に拍車をかけてきたものだと思うのだ。

この公害や環境破壊が、1日も早く神話になることを祈っているのは、吾人だけではあるまい?

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