現在この星は、悪循環の真っ只中にある。
遺伝子組み換えのされた野菜や果物、抗生物質やホルモン剤を押し込んだ魚や肉が食卓に並べられ、日を追うごとに100年前には聞かれなかったであろう病気が出現し、人々の心身を蝕み出している。
70億と人口が溢れつつも、飽食時代が驚くほどの長きに渡って継続し、それと同時に生活習慣病も蔓延して、病院には患者が溢れ、医者は決まって「クスリ、薬、くすり」と、これでもかと人体に化学物質を注入している。
昔に比べて寿命は長くなってはいるが、それに比例して病に侵された人も増えている。
人間の筋肉、臓器、細胞、つまり体全体は、120年は稼働できるとの保証書が発行されているにもかかわらず、不健康な長寿社会とは一体どういうことなのか、頭をかしげるのはなにも吾人一人ではないであろう。
過去に吾人は、栄養バランスの取れた食事をし、ジムにも通い健康には人一倍気を付けていたにもかかわらず、2型糖尿病になった。
豊富な蛋白質、飽和脂肪酸を避けた良質な脂質、野菜とご飯。
スイートは好きではあるが毎日食べることを避け、アルコールも年に数回とほとんど飲まないのにである。
そのかわり、東洋人特有のお米が大好きで、毎日丼ぶり3杯は食べていた。
「You are what you eat(食べているものがあなたです)」とフィットネスではお題目となっている言葉は、奥が深い。
糖尿病をはじめ、心臓病、脳卒中などの生活習慣病は、砂糖とアルコールが主なものであると信じ、自身には縁の無いものと思っていたが、いざ糖尿病と診断されて、その原因は米やパスタの過剰摂取であったのだろうと思い当たった。
炭水化物の量を減らし、減量もすれば糖尿は治るだろうと医者に尋ねれば、糖尿病は治る病気ではない、1度かかれば慢性の病気であり、一生血糖値をさげるクスリを服用しなければならないと、お先真っ暗な言葉が返ってきた。
まったく、現代の世界と同じである。
取りあえず、糖尿病の完全治癒は無理だとしても、血糖値だけは下げられるので、ボディ―ビルダーのコンテスト前の絞り込みダイエットを始めた。
それは、高蛋白+ローカーボ(低炭水化物)のダイエット、近年日本で話題になっている糖質制限のダイエットであった。
そしてこの間、糖尿病に関していろいろと勉強をはじめて、今までの常識を覆す本と出会い、ケトジェニック・ダイエットを知った。
その本こそ『Grain Brain』(邦題「いつものパン」があなたを殺す)であった。