エピジェネティクス

【ステント】

11月7日木曜日、念願の尿管ステントを摘出したが、今度は尿道にステントを付けられてしまった。

聞けば、2,3個の結石があったようで、とりあえず尿管内の結石を粉砕し、尿管ステントを取り外して、新たに尿道にステントを取り付けたとのことだ。

この尿道ステントは1週間後に取り外すもので、吾人の亀の頭から2本の線が伸びていて、これを麻酔無しで引っ張り出すと言うのだ。

看護婦さんいわく、「泌尿科のベテラン女医が引っ張るから安心だ。男性医師なら荒々しく引っ張るだろうが、女性医師なら痛み無しで引っ張る…」と一見「なるほど」と頷いてしまう理屈ではあるが、逆に悪く考えれば、女性ゆえに男への恨みつらみに千切れんばかりに引っ張るのではないかと、つい背筋が凍り付き震えあがってしまった。

まあとりあえず、「俺はなんて業の深けえ野郎なんだ…」と、嫌と言うほど身の程を知らされ、過去の罪滅ぼしとして、この最後の試練を受けようじゃないかと覚悟を決めた。

この麻酔ボケから過剰反応した覚悟が、後に大いに助けとなった。

現実と言うものは、いつも予想や計画をした範疇を超えて、臨機応変さを問いかける事象を突き付けてくれるものだ。

火曜日に、職場でいつものように管理人の服装から、放課後のジムインストラクターの服装へ着替えていた時、亀の頭から伸びている紐のことなどつい忘れて、普段通りにズボンをボサッと脱ぎ下した。

その途端、チクッとした痛みを感じたと同時に、パチッと音を立て紐がズボンから解放されて跳ね上がった光景が目に移り「しまった!紐が引っ掛かっていた…」と即座に事の経過を認識した。

それから、チョロッと色の付いた液が漏れだし、すぐに止まると思いつつも、ちょっともよおした気分なので、すぐにトイレに駆け込んだ。

一時的な漏れとタカを括っていたものが、それこそ栓の緩んだ蛇口のようにポタリポタリと漏れが止まる気配が無く、外見に変化は見られないが、内部でステントがズレたことに気付き、トイレットペーパーを詰め込んでから外に出て病院に電話をした。

14日に引っこ抜きを担当している女医に相談をしたところ、「充分に勇気があるなら、自分で引っ張ってみてください」と挑発してきたが、即座に「ノーノ―、引っ張ってください」と軟弱さをさらけ出して、病院へと直行した。

ステントを抜くのに、ものの1分とかからなかった。

引っ張られた時にチクリとした痛さがあったが、その後は下水管のような太いパイプが抜けていくような感覚を味わい、ステンッと(FBFのY さん伝授)抜けた感覚を味わって楽になった。

思っていたよりも長いチューブで、尿管の終わりから膀胱を通って尿道に至ってとの説明を受け、「滅多に見られるもんじゃない」と写真に収めた。

その後、一物を取り扱ってくれた親近感と金髪で可愛らしい医師であったことが加速して、手術を担当した医師からの説明を受けることができなかった分、おじちゃんは矢次早に美女医を質問攻めにした。

dav

【遺伝子】

なにはともあれ吾人は結石を作りやすい体質、または遺伝なのだろうか?

それとも生活習慣や食習慣が結石を作りやすくしているのであろうか?

以前は「遺伝だろう」とバカの一つ覚えを垂れたであろうが、エピジェネティクスという分野が発達している現在では、なんでもかんでもご先祖様から受け継いだ遺伝子に、責任を押し付けることは間違いである。

ところで、腎臓結石は遺伝が影響するとも聞いたが、母が胆石持ちなので、ある程度遺伝とも言えるかもしれないが、吾人の2型糖尿病は、父方も母方の家系も2型の人はゼロで、吾人が最初の2型罹患者であることから、エピジェネティクス的疾患であると言える。

今回の入院でも血糖値を計測したが、空腹時(18時間不食)は5.6mmol/L(100.8mg/DL)で手術後は4.2mmol/L(75.6mg/DL)まで低下したと記憶している。

麻酔が緩まって、スクランブルエッグとベーコン2枚、トースト(白パン)2枚を食べた後の血糖値は7.6mmol/L(136.8mg/DL)まで跳ね上がり、看護婦さんいわく血糖値は健常者並みということで、以後、血糖値測定は一切行われなかった。

前回に引き続き今回も、「メトホルミン無し、血糖値測定無しで2年半経つ」と看護婦さんに教えると頭から笑われたが、上の血糖値をはじき出したことによって、看護婦さんは「ダイエットでコントロールしている」と気のせいかもしれないが、声高に別の看護婦さんに伝え、夜勤の看護婦さんは「計測するのはno point(意味が無い)」と血圧だけ測定し、翌日の日勤看護婦さんはなにも言わずに血圧だけ測定。

この天使たちの行動を観察するに、看護婦さんたちは暗黙で糖尿病改善を認めてくれているのではないだろうか?!!

しかも引っこ抜き美女医も、吾人の血糖値をすでに熟知していたようで、「以前は2型だったが、今はもう血糖値は正常だ」と言ったところ、そうだと感心深げに大きく頷いていたことからも、改善の程が推察できる。

さて、エピジェネティクスとは、簡単に言えば遠いご先祖様から受け継がれてきた遺伝情報に、食事や環境等外因から影響を受け、制作された情報が上塗りされて、影響を及ぼし後世にも伝えられる遺伝情報で、その手の学者の例えを借りれば、主題となる歌の楽譜が遺伝子で、後に伴奏として付け加えられた楽譜がエピジェネティクスであるとのことだ。

以前にも勉強したミトコンドリアや代謝回路のように、あまりにも細かすぎる内容は好きではなく、吾人にとっては苦手な分野であり、理解するのに数日かかるほどで、時間をかける割にはその半分も理解できずに間違った解釈をするかもしれないが、今回も理解している範疇でミクロ宇宙の表面を語っていく。

遺伝子やDNAとの言葉を聞いたのは10代の頃だった。

学校の授業ではなく、親が押し付けてわかりもしないのに購読していた科学雑誌ニュートンで、ミクロの世界に初顔合わせをしたと記憶している。

以来、「これは遺伝だ」「これはDNAに刻まれている」などと冗談半分に使用しているが、時を経るに従って遺伝子とDNA、染色体などの違いにボケが生じ、どれがどれだかはっきりしなくなってきた傾向が強いので、自身復習を兼ねて、ここではまず基本をおさらいしておく。

小さい順に並べれば;遺伝子→DNA→染色体→ゲノム

遺伝子(gene;DNAの一部、でタンパク質の作り方を記憶している部分。DNA上1.5%を占める。

DNA;デオキシリボ核酸。遺伝情報を保存している物質。細胞核内に46本のDNAまたは染色体が存在し、全部をつなげると2メートル近くにも及ぶ。

染色体(chromosome;DNAがヒストンというタンパク質に巻き付き、折りたたまれ、高度に凝集された構造体。

ゲノム(genome;上の全てを含めた遺伝情報の全て。

https://www.ddbj.nig.ac.jp/column/genegenome.html
http://genomedic.jp/DNA_introduction.html

このように基本中の基本を理解できれば、最近よく目にする遺伝子組み換えが理解しやすくなる。

品種改良の歴史には5つの段階があり、自然界の突然変異→交配育種→人為的突然変異→遺伝子組み換え→ゲノム編集で、交配育種からは人為的な操作である。

品種改良は植物・農作物だけでなく、犬やウサギなど動物にも為されてきた。

ここで、交配育種以降の品種改良について説明しておく;

・品種改良+交配育種;品種改良・育種は、利用できるものを人為的に選抜(栽培化)し、新しい品種を作ること。

交配育種は性質の異なる品種を掛け合わせて良い性質を持つ品質を作る方法。上と同じ意味である。

・人為的突然変異;放射能や化学物質などを用いて、人為的に突然変異を起こす。

・遺伝子組み換え;類縁の無い、特定の遺伝子を組み込む方法。自然界には存在しない。

・ゲノム編集;DNAの特定部分を切断し、突然変異を起こす。

【エピジェネティクス・メカニズム】

先にエピジェネティクスに関して乱暴な解説をしたが、その基となった文を改めて引用させて頂くと;

 エピジェネティクスとは、DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステムおよびその学術分野のことである。すなわち、細胞分裂を通して娘細胞に受け継がれるという遺伝的な特徴を持ちながらも、DNA塩基配列の変化(突然変異)とは独立した機構である。このような制御は、化学的に安定した修飾である一方、食事、大気汚染、喫煙、酸化ストレスへの暴露などの環境要因によって動的に変化する。言い換えると、エピジェネティクスは、遺伝子と環境要因の架け橋となる機構であると言える。主なメカニズムとして、DNAメチル化とヒストン修飾がある。

脳科学辞典より引用 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%A8%E3%83%94%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9#.E3.83.92.E3.82.B9.E3.83.88.E3.83.B3.E4.BF.AE.E9.A3.BE

また国立がん研究センターによれば;

私たちの体は皮膚、胃、肝臓など様々な組織から出来ており、これらは別々の細胞で構成されている。どの細胞も基本的には同じ遺伝情報を持っているのに、別々の細胞になれるのは、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印をつけているからである。エピジェネティクスとは、これらの目印を解明する学問である。皮膚から胃ができないことに象徴されるように、エピジェネティックな目印の特徴は、一旦つくと、容易にははずれないということである。

細胞内のDNAは、ヒストンとよばれるタンパク質に巻きついてできている。エピジェネティックな目印には、DNAにつく目印(DNAメチル化)とヒストンにつく目印(ヒストン修飾)の2つが知られている

https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/epigenomics/project/010/010/20170906143435.html

と、また一味違った説明であり、ウィキペディアを見れば、定義が多用で一致していないと言うのであるが、DNAメチル化とヒストン修飾は一致した定義であるようだ。

ここでは、塩基配列やらメチル基云々の分子レベルの説明は飛び越えて、ややこしくなることを避けて簡単に機能の紹介をする。

DNAがメチル化されれば、そのメチル化された遺伝子が使えなくなる。

つまり、スイッチオン(またはオフ)になるわけで、メチル化されなければスイッチオフ(またはオン)。

これと同様に、ヒストンのアセチル化は遺伝子発現(転写・翻訳・発現調整)を起こし、脱アセチル化は遺伝子発現を阻害することからスイッチの役目を果たしている。 https://www.riken.jp/press/2009/20090907/

先のがん研究センターのリンク内で見られるように、がん抑制遺伝子の不活化は突然変異、染色体欠失に加え、DNAメチル化異常に原因があり、がん遺伝子にメチル化するべきところを、がん抑制遺伝子にスイッチが入り、機能を停止させてしまうとの狂いが生じるわけだ。

正常なDNAメチル化やヒストン修飾は、スイッチの切り替えに狂いがないのだが、これも

先の脳科学辞典の引用に見られるように、食事や大気などからのケミカル、ストレス等が原因となって、エピジェネティクス制御に影響を及ぼしているのである。

繰り返すようであるが、正常なDNAメチル化は新しい細胞が作られる際に、不利益な情報にはメチル化が為され、新しい細胞に伝えられることを防ぎ、ヒストン修飾にしても、アセチル化によって利益となる情報を遺伝子に組み入れ、脱アセチル化において不利益な遺伝子の発現を阻止する働きをする仕組みとなっていると言えるであろうか。

【遺伝子掃除】

この稿を起こすきっかけとなったのは、ポール・サラディーノMDのポッドキャストで、ゲストのベン・リンチ医師の遺伝子に関する内容で、遺伝子を活性化するのに肉食が適しているとの結論からであった。https://carnivoremd.com/ben-lynch-methylation/

リンチ医師は肉食ではないが、遺伝子が必要とする栄養素のほとんどが、アニマルベースに大量に含まれていることに興味があるようで、これも吸引力となってサラディーノ博士とは親しい仲であるようだ。

このポッドキャストを初めて聴いた時、その内容をほとんど理解することはできなかったが、ただ遺伝子レベルからでも、アニマルベースの栄養素は無駄が無く効率的であるということが頭に残り、もっと深く理解したいとリンチ医師の著書『Dirty Genes』をオーディブルで購入した。

この本を一度聴いた時には、何言ってんだかさっぱりわからなかったが、それでも覚えていたことは、砂糖と炭水化物の過剰摂取、運動不足または過剰な運動、睡眠不足が汚れた遺伝子を作るということであった。

二度目には、汚れた遺伝子をきれいにするには、食事と運動、ストレス解消、睡眠が大事であることを理解した。

三度目には、MTHFRと,それこそマザーファxXーとも読める遺伝子が親分で、この親分を含めた7つの遺伝子が浄化の鍵であり、浄化方法はメチル化と呼ばれるものであると理解し、この時、先に紹介した基礎を学び直し、いくつかのYouTube やポッドキャストを視聴して、ある程度の理解を得た。

そして四度目にして、人間には2万個(種類)の遺伝子があり、それぞれの遺伝子には特定の情報が管理されていて、メチル化によって最善の情報選別が為されて新しい細胞に伝えられるメカニズムであるべきものが、現代社会では遺伝子を汚す原因が多量に散在していて、知らないうちに遺伝子が汚れ、それが心身両面に疾患などの悪影響を及ぼしていると理解できた。

遺伝子の一つひとつの機能が解明され、それぞれに名前が付いていることに、想像以上に遺伝学が進展していることに深く驚嘆した。

以下に、ベンチ医師が取り上げた7つの遺伝子とその特徴を紹介しよう。

1.MTHFRメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素

メチル化をサポート。

遺伝子発現を含む、200以上の身体の重要な機能を有効にする。

2.COMT;カテコール‐O‐メチル転移酵素

ドーパミン、エピネフリン(アドネナリン)ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の代謝に影響を与えることから、気分、エネルギーレベル、落ち着き、睡眠、集中力を左右する。

また、エストロゲン代謝に影響を与え、エストロゲンレベルやホルモンバランスを支配するので、月経周期や閉経、女性のガンを左右する。

3.DAO;D‐アミノ酸化酵素

食物やバクテリアからのヒスタミン反応に影響。

アレルギーや食物不耐性。

4.MAOA;モノアミン酸化酵素A

ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンとの関係に影響。

気分、エネルギーレベル、睡眠、砂糖や炭水化物中毒。

5.GST/ GPX;グルタチオン転移酵素/ グルタチオン酸化酵素

デトックスを有効にする。

6.NOS3;一酸化窒素合成酵素

循環器に影響。

心血管の健康、循環器系の問題、脳卒中。

7.PEMT;ホスファチジルエタノールアミンN‐転移酵素

細胞壁、脳、肝臓に影響を与えると共に、妊娠、胆石、脂肪肝、消化器、SIBO(小腸内細菌増殖症)、注意障害、閉経などの、幅広い健康問題を決定する。

これら7人の侍が汚れることによって、諸々の病が起こるのだ。

そしてこの中でも、MTHFR遺伝子がメチルを提供し、メチル化を開始する遺伝子清掃の鍵であることから、リンチ医師は自身のクリニックで「MTHFR療法」を表看板としているほど、重要な遺伝子であることは先にチラつかせた。

また遺伝子浄化方法も、先に紹介したように食事、運動、睡眠等となにも神秘で特別な儀式ではないが、メチル化を潤滑にさせる栄養素が興味深いのだ。

これも先に述べたが、「遺伝子を活性化するのに肉食が適している」というのは、遺伝子が必要とする栄養素が、プラントベースよりもアニマルベースに豊富であると言うことである。

各遺伝子が必要とする栄養素を、下に箇条書きにして紹介すると;

MTHFR;リボフラビン/ビタミンB2、葉酸塩/ビタミンB9(著者は葉酸塩;Folateと葉酸;Folic acidに一線を引いている)、コバラミン/ビタミンB12、タンパク質、マグネシウム。

COMT;マグネシウム。

DAO;カルシウム、銅。

MAOA;リボフラビン/ビタミンB2、トリプトファン。

GST/ GPX;システイン、リボフラビン/ビタミンB2、セレニウム。

NOS3;アルギニン、カルシウム、鉄、リボフラビン/ビタミンB2。

PEMT;コリン。

と、魚肉に豊富な栄養素であり、中には肉でしか摂取できないものもある。

またハツやレバーを週に何回か食べれば、上のほとんどがカバーできるものでもある。

【なぜアニマルベースなのか】

もちろん、上の多くの栄養素は植物からも摂取できるが、サラディーノ博士のポッドキャストでリンチ医師も同意しているように、野菜には糖たんぱく質の存在と共に生物学的利用能に違いがあることが、人によっては災いとなってしまう

リンチ医師に好感が持てるのは、良質のサプリ会社を経営していながら、サプリに頼らず食事で努力することを訴え、ほとんどの人は食事で想像以上に健康改善が可能だと叫んでいることだ。

しかもサプリ産業の裏を熟知していて、商品の質に関して危険この上ないことも訴えている。(キャスト1時間4分頃)

リンチ医師がアニマル食がなぜメチル化に良いかと賛同されるのは、ビタミンB群コリンを多く含有していることにある。

メチル化が行われる過程でいくつかの回路が作動されなければならず、主にメチオニン回路からメチル化と共に、ホモシステインが生まれ、このホモシステインからメチオニンへと再び回路を回っててメチル化される仕組みで、これにはビタミンB9の葉酸塩、B2のリボフラビン、B12のコバラミン の存在も必須であるのだ。

また、ほとんどの遺伝子は酵素を作るが、この時にB2リボフラビンが酵素産生の起動剤となり、このB2は魚、レバーや卵の黄身に多く含まれている。

次にコリンであるが、コリンは卵の黄身や内臓肉に多く含まれ、先に紹介したPEMT遺伝子が必須としている。

コリンは脳や神経、胆汁の成分ともなり、PEMT遺伝子の酵素がホスファチジルコリン(レシチン)を作るが、これには、ビタミンB6,9,12とコリンがホモシステインに絡んで、ホスファチジルコリンとなる。

先に吾人の母は胆石持ちと触れたが、胆石のほとんどはコレステロール基で、このコリン不足が大きな原因であると言う。

コリン不足の為胆汁がこってりドロドロとなって、コレステロール結晶が作られてしまうとのことだ。

このように、遺伝子の健康のためには、魚肉、内臓肉、卵とアニマルベースの食材に全て大量に含まれていることから、リンチ医師はカーニヴォ―に注目をしだしたようで、このポッドキャスト前に、サラディーノ博士に勧められるままに、生まれて初めてレバーを生で食べたとはしゃいでいたほどだ。

【ケト遺伝子】

またもやベン・グリーンフィールドのポッドキャストであるが、ケトン代謝にも遺伝子が影響するとのトピックがある。https://bengreenfieldfitness.com/podcast/low-carb-ketogenic-diet-podcasts/keto-mistakes/

栄養ゲノム情報科学(Nutrigenomics)と言う、「食品や栄養素の安全性・機能性を、遺伝子発現分析を利用して解析する学問(ウェブ辞典より引用https://eow.alc.co.jp/search?q=nutrigenomics)」があり、ダイエットの違いに応じて遺伝子を調査している分野があるようだ。

イヌイットを対象とした研究で、CPT1A遺伝子が肝臓と腎臓に見つかり、ケト生合成の鍵であるとのこと。

CPT1Aは体温の上昇を起こし、遊離脂肪酸を肝細胞から褐色脂肪組織へと移動させ、優れた糖新生能力を発揮させる働きがあるとのこと。

81%のカナディアンと54%のグリーンランド・イヌイット、68%の北東シベリア人からCPT1A遺伝子が見つかっている。

次にFAD1FAD2がケト遺伝子で、狩猟採集時代のアニマルベースをしていたヨーロッパ人に多く見られるもの。

この遺伝子は植物からのオメガ3脂肪酸をEPAとDHAに変換できる機能があると共に、アニマルベースのオメガ3を別の代謝回路でより多く吸収できる能力がある。

次はADRB2

これはエネルギーバランスと代謝を司る遺伝子で、カロリー消費を最小限に留める働きであるが、要は体脂肪をエネルギーとして蓄え、不猟時に食べなくても動き回って狩猟ができるようにしておく状態を保つ目的であるが、現代社会ではこれがかえって問題の種であり、吾人を含め多くの人々がこの遺伝子を持っていることと思う。

次はAPOE2で食欲を調節。

FTO3は摂取する脂肪の量、特に飽和脂肪酸に応じて、体脂肪全体に影響を与える。

LPLは飽和脂肪酸を体脂肪として保存するか、燃料として使用するかを調整する。

APOC3はLDL同様、血中の中性脂肪レベルを規制する。

とケト遺伝子として紹介しているが、地理的に考察した一般論として、1年中温暖な地域、または赤道に近づいていくほどケト遺伝子は減って、炭水化物に適した遺伝子が多くなり、赤道から離れた地域、寒冷地の人種の遺伝子は、ケト適応の遺伝子が多いとの。

つまり、紀元前の昔から、年がら年中野菜や果物、穀物が栽培でき、豊富な地域に暮らしてきた人の遺伝子にはケト遺伝子が少なく、四季のはっきりしている冬が過酷な地域に暮らしてきた人の遺伝子にはケト遺伝子が多いとのこと。

このことから、一般的に日本人にはケト遺伝子が多く存在していることと思うが、中にはケトジェニック・ダイエットは性に合わないという方の場合は、多分に南国の遺伝子が多く存在していると言えるかもしれない。

【ケトン体とエピジェネティクス】

ケトン体は、エピジェネティクスと相性が良いとの研究がいくつかある。

2018年のレビュー論文の一項では、てんかんにおけるケトジェニック・ダイエット(KD)の疾患修正エピジェネティック・メカニズムを紹介している。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5409832/

慢性てんかんのラットでは、DNAメチル化の顕著な増加が関連していて、KD療法は発作の進行を弱め、DNAメチル化を介した遺伝子発現の変化を改善しました。

その後の研究では、一過性のKD療法は、アデノシン欠乏及び高メチル化のてんかんラットを、正常なアデノシン・レベル及び包括的なDNAメチル化レベルへと回復しました。

重要なことに、一過性のKD療法は、コントロールダイエットへと反転させた後でも、発作活動を長期間減少させました。

KD療法はアデノシンを増加させ、アデノシンはDNAメチル化をブロックします。

アデノシンはATP(アデノシン3リン酸)の成分であると共に、DNA・RNAの構成物質でもある。

また別なサイトhttps://www.whatisepigenetics.com/epigenetic-explanations-cutting-sugar-may-make-feel-smarter/#fn-6151-3では、ケトーシスはサーチュインの活動を活発化させる働きがある。

サーチュインが長寿遺伝子であることはもうご存知であろうが、脱アセチル化酵素で「ヒストンとDNAの結合に作用し、遺伝的な調節を行うことで長寿を伸ばすと考えられている(ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A4%E3%83%B3%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90)」とあるが、これだけではない。

まずケトーシスは脳の海馬内のサーチュイン1を増加させる。

海馬は記憶を司る場所で、サーチュイン1はCREB(転写調節因子のひとつ)BDNF(脳由来神経栄養因子)を高く保って、記憶形成を促進、調整をする働きがある。

次にケトン体のβヒドロキシ酪酸はヒストン脱アセチル化の阻害剤であり、これに対してヒストン脱アセチル化は記憶増強遺伝子を抑制する働きがあり、これに記憶抑制因子を抑制する働きがあるサーチュインが加わって、記憶を保護する働きがある。

久々に登場するケトン王ドム博士ことダゴスティーノ博士のチームサイトでは、ガンで異常にサイレンシングされるDNAの領域を開くためにヒストン脱アセチル化阻害剤が開発されているが、βヒドロキシ酪酸は阻害剤と同じ効果があることに軛を打って、脳腫瘍のあるマウスにケトジェニック・ダイエットを施したところ、腫瘍の遺伝子発現が健康な組織に近い形に変化した研究を紹介している。

また、βヒドロキシ酪酸がDNAを酸化ストレスから保護すると共に、ヒストン脱アセチル化阻害による酸化ストレス耐性遺伝子の増加を紹介。

あるマウス実験では、ケトン食がコントロール食に比べ13.6%の延命効果があることを取り上げ、この効果はP53やDDIT4などのいくつかの遺伝子のエピジェネティック規制によるものとして、殊にP53とDDIT4は、加齢及び加齢に賄う疾患の潜在的ドライバーmTORC1のネガティブ制御機であると、期待が込められている。

以上のように、ほんの掠めた程度ではあるが、エピジェネティクスは運命に打ちひしがれ、希望のない諦めの未来を提示していた遺伝子を、かなりの程度が改善可能で、自ら作り替え創造できるとの光明を与えてくれ、これからも更に解明が為され、奇想天外な報告が相次ぐことと期待している。

https://www.ketonutrition.org/blog/2018/6/29/can-keto-affect-your-genes

【個人的な結石の原因】

さて冒頭に、おじちゃんが美女医を質問攻めにした続きであるが、実は真っ先に結石結晶化の原因を吾人が自ら押し付けた。

その上でこの医師が教えてくれたことは、ほうれん草やブロッコリーを摂り過ぎないことと、乳製品を控えることであった。

そして、1日2リットルは水を飲むこと。

結石の成分はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムが大半で、尿酸結石なら関節に痛み(痛風など)があり、シスチン結石は記憶では遺伝か感染であると、以前に勉強したのを覚えている。

以前はカルシウム過多も原因とされていたようだが、現代では逆にカルシウム不足が原因であることに落ち着いている。

医師が忠告してくれた緑色野菜と乳製品を避けることは、シュウ酸とリン酸のどちらを避けるのかは、ある程度想像が付くが、乳製品だったらカルシウム?ひょっとして過多?…だったら賞味期限切れの情報と、ついネガティブ思考に傾いてしまう。

ともあれ現在、最初にお世話になった大学病院で、吾人の結石を分析しているとのことで、6カ月後に結果が出るとのことだ。

どう見積もっても栄養や運動、ストレスレベルなど問題は無いと思える生活習慣であるが、吾人にとっての結石結晶化の原因について更に角度を変えて考察を続けたところ、10日の日曜に突如閃いたように悟達に達した。

それは喫煙であった。

何を今更と笑われようが、笑われても仕方が無いほど弊害に気付かず、盲点となっていた。

丁度1年前に禁煙したのだが、4月下旬よりラテン語(解剖学)の勉強でストレスが溜まったと同時に、一時止めていた掃除員のフィリピン人のおっちゃんが復帰したことを祝福して、一緒に一服したことが災いして、ズルリと喫煙者へと転げ落ちたのだった。

タバコは腎臓への血液の流れを悪くするし、体内を乾燥させる。

加えて喉がカラカラになってから水を飲む吾人の悪い癖もあり、知らないうちに脱水状態になりやすいのだと思う。

なにはともあれ、タバコと結石の関係を検索したところ、いくつかのエビデンスが見つかり、実際喫煙は結晶化を倍増させるようであった。

と言うことで、現在アレン・カーの本を読み、オーディブルも聴いている日々である。

胆石がコリン不足から起こるものであることから、吾人の腎臓結石も生活習慣が原因であり、改善の余地が大いにあると希望が持てた。

ちなみにリンチ医師の著書によれば、腎臓機能を司る遺伝子はNOS3で、循環器に影響を与える遺伝子で、アルギニン、カルシウム、鉄、ビタミンB2の栄養素が必須となるが、吾人にとって栄養素の心配はさらさらなく、とにかく、いい加減タバコを止めろということを身に染みて理解できた。

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