妙なもの
絵を描く対象で、一番難しいのは人の顔です。
特に赤ちゃんや、子供の顔が難しいです。
ひとつの小さな点の付ける場所、色の違いで大きな違いが出てしまいます。
肖像画の制作は、夢にまでその顔が現れるほど、まぶたに焼き付いてしまいます。
制作自体、脂汗がにじむほどの厳しい自身との戦いであり、しまいには疲れ切って、それでもその顔に近づこうと、這いつくばるようにして描き続けていると、ふと切れたような、目が覚めたような感覚に襲われ、心はまるで無のようで「終わった」と思わず納得して完成するケースがほとんどでした。
顔というものは不思議なもので、肖像画制作も不思議な妙なものであります。
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