ケトン革命

赤血球

ミトコンドリアに関しては、思った以上にややこしい。

去年の暮れに勉強をしたが難しいので匙を投げ、最近執筆のためにと要点だけでも理解することに努めた。

 

前回にも述べたが、1つの細胞に300∼1000個のミトコンドリアが棲息し、エネルギーと熱と光を人体に提供してくれている。

しかしながら、ミトコンドリアは赤血球にだけ棲息していない(1)

それに加えて、ケトン体は赤血球と肝臓で使用されることはない(2)

そこでまず(1)の赤血球から話を始めよう

 

結論にジャンプする前に赤血球の役割を確認すれば、

酸素と二酸化炭素を運び,ガス交換の機能を果す。

一般に貧血というのは,(中略)血液中の赤血球数の著しい減少が原因である。そのためガス交換の機能が阻害され,組織の酸素不足が生じる。

高地の住民は平均より赤血球数が多いが,これは高地が低酸素なので,単位あたりの酸素運搬量の減少を補うためである。(「赤血球」ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典、コトバンク、Yahoo Japanより引用)

ここで、なぜ酸素を原料にしてエネルギーを生産するミトコンドリアが棲息していないのか?

要は、ミトコンドリアが赤血球に存在すれば酸素を横取りして、赤血球によって体中に運搬される酸素の量が減り、寝ても覚めても貧血状態に陥ってしまうからだ。

東京医科歯科大学の清水重臣教授は、赤血球からミトコンドリアが取り除かれるカラクリを解明した人で、なんと元初の昔には、赤血球にミトコンドリアが住んでいたとのことで、赤血球の真ん中にある凹みは、ミトコンドリアがかつて居住していた名残ある形跡だとも言われる。

さてミトコンドリアが追い出された理由として、教授いわく「体の組織に運搬されるべき酸素が減るのを防ぐためだと思われます」と述べておられる。

 

(2)まずケトン体が赤血球で使用されない理由は、赤血球にミトコンドリアが存在しないからである

重複するが、ここで久々江部康二先生を引用させていただくと、

赤血球だけがブドウ糖しか利用できないのは、ミトコンドリアを持っていないからです。

細胞内にミトコンドリアがあれば、必ず脂肪酸やケトン体を利用することができます。(「赤血球とブドウ糖とミトコンドリア」江部康二、ドクター江部の糖尿病徒然日記、2011年より引用)

 

次に肝臓がケトン体を使用しない理由は、赤血球とミトコンドリアの関係に似たもので、肝臓がケトン体を生産していて、つくり出したケトン体を独り占めして体中に運搬できなくなることを防ぐために、生産と消費に一線を画しているわけだ。

ちょっとだけ足を突っ込んで学術的に恰好を付ければ、肝臓細胞にはケトンを取り入れるための酵素が欠如しているため、ケトン体を消費できないのだ。

では肝臓細胞にいるミトコンドリアは何を原料にするかと言えば、それはブドウ糖である。

しかしケトン人にとって、このブドウ糖は出所が違う。

糖質が注入されず、脂肪を燃料として使いだすケトン人の体では、脂肪とアミノ酸からブドウ糖が作られる。

肝臓での脂肪分解に2通りあり、簡単に記せば脂肪→グリセリン→ブドウ糖と脂肪→脂肪酸→ケトン体とある。

そしてアミノ酸→ブドウ糖と筋線維→乳酸と、いわゆる「糖新生」が行われてブドウ糖が生産される。

このようにケトン人でも、ブドウ糖とケトン体を必要とし使用しているのであるが、ここを履き違えて、「体にはブドウ糖が必要だから炭水化物を取らなければいけない。だからケトン食・糖質制限食は体に悪い」と吾人の母親のように勘違いする単細胞がいるが、必須炭水化物と呼ばれる栄養素が無いように、炭水化物を摂取せずとも必須アミノ酸や必須脂肪酸を充分に摂取していれば、上に述べたように、充分体内でブドウ糖を生産することができるのである。

こうして肝臓も赤血球も、体内で生産されたブドウ糖を消費しながら、絶えず仕事をこなしていけるわけである。

話が前後するようだが、今回赤血球を調査している時に、「ケトン人となれば  、ブドウ糖削減によって赤血球が減るのではないか」との疑問に突き動かされ調査をしたが、これこそ肉体の神秘で、炭水化物無しでも我々の体は充分にブドウ糖を生産できるとのことで、つまり赤血球の減少は起こらないことを証明した、2004年の記事をアメリカの国立生物工学情報センターで見つけた。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2129159/)

 

最後に、よくケトン転換の際中に、貧血症的なめまいや立ち眩みなどのケトンフルー=ケトン風邪症状に見舞われることもあろうが、これは赤血球の問題ではなく、以前にも述べたが電解質不足が主な原因であり、鉄分を含め充分なミネラルを日々摂取することによって解決できるものであると断っておく。