ケトン革命

サーカデイアンリズム

【一転落着】

先週、26日の木曜日にステント摘出の手術との朗報を報告したが、今週になってから詳細を記載したという手紙を心待ちにしているにも関わらず、待てど暮らせど一向に届かないので火曜日に病院に電話をしたところ、26日に医師が不在なため延期になったとのこと。

その延期期日も翌週などと可愛いものではなく、11月7日と1カ月以上ジャンプをしたもので、しかも、19日の木曜に手紙を送ったと言うのだが、1週間経過しても手紙など届かぬ始末。

この国の医療機関の一部は平気で嘘をつき、嘘が日常化し患者の生活など恰も存在していないように対応し、庶民を満足させるほど働いてもいないのに、「やれ重労働だ。給料が安すぎる」などとストを起こしている。

大体こいつらの給料は、吾人も含め一般庶民の税金から賄われているものだ。

このような身の程知らずを英語では“ワンカー”また“アスホール“、”シットヘッド“や”ディックヘッド“と表現する。

人様の命を扱っている機関として真摯な態度が見られないので、早速苦情のメールを送った。

しかしながら、時として運の悪いことは重なるもので、最近勉強している本で時間制限食=Time Restricted Eating; TREを習い、ちょっと試してみようと26日の朝に豚肉100グラム、ベーコン4切れ、卵2.5個、キャベツ400グラムと、普段は摂らない時間帯と大きめな食事をしたところ、もう1日中尿が真っ赤。

その八つ当たりも加わっての、病院への苦情メールともなった。

と、苦情のメールから約1週間後に病院の苦情部門であろう、お詫びのメールが届き、なんとか交渉する旨を述べてあった。

が、この一見真摯な反応も、11月7日に手術が実現されるまでは諸手を上げて感謝する気など毛頭無く、信頼などしていない。

【TRE】

前回紹介したロンダ・パトリック博士によれば、TRE; Time Restricted Eating は主に人間での調査を指し、TRF; Time Restricted Feeding は主に動物実験を指すが、時々入れ替わって使用されるとのことだ。https://www.foundmyfitness.com/topics/time-restricted-eating

実にこの定義は、彼女が敬愛してやまない友人でもある、カリフォルニア州ソーク大学教授サッチン・パンダ博士;Satchin Pandaによるもので、パンダ博士 はサーカディアンリズムのエキスパートであり、このTREの発見者で、2012年に「栄養の偏った食事とランダムな食習慣がいかに肥満や慢性疾患に影響を与えるか」のマウス実験をしたところ、思わぬ結果と解答が得られた。

それは、食事の量と質ではなく、時間が影響を与えることの発見、つまり時間制限食の発見であった。

遺伝子が同じ2匹のマウスに、同じカロリーの高脂肪+高糖質という最悪な食事を与え、1匹は24時間小刻みに食べさせ、片方は8時間の時間制限を与えたところ顕著な結果が得られたのだ。

8時間の時間制限とは、マウスが起きてから1食し、それから8時間後に最後の食事をするもので、大きな食事を1日に2回したこのマウスは、12週後には体重の増加が見られず、血糖値もコレステロール値も正常であった。

その後、9時間、10時間と時間制限をしたところ、12時間までが限度で、15時間の制限は効果が無いことを発見した。

片や、24時間小刻みに同じカロリー食を摂取したマウスはどうか?

言わずとも知れた、メタボとなったのだ。

しかも、その後このメタボマウスに時間制限食を施したところ、血糖値や血圧、コレステロール値が正常になり、メタボが改善されたとの驚く結果も得られた。

この発見を緒に世界中で似た実験が施され、他の実験では「朝起きに食事」と「寝る前に食事」の2グループのマウスに同じ低カロリー食を与えたところ、朝起き組には減量効果が見られ、寝る前組には減量効果が無かったとのこと。

また、ハーバードグループとスペインの栄養士による人実験でも同様な結果が得られた。

まだ他にも実験例はあるが、これらの実験をまとめてパンダ博士は8-12時間の時間制限枠を整え、真ん中を取って10時間が最適と提唱している。

もちろんカロリーの上限はあるが、この時間内に何を食べようが肥満や生活習慣病にはならないし、かえって改善効果があるとのデータの裏付けがある。

これまで、健康のために「何を食べるか」が重視され、1万件以上もの研究調査がされてきたが、パンダ博士は「いつ食べるか」との新しい食事へのアプローチを提示された。

加えて、この最長12時間の時間制限食は、サーカディアンリズムを整える働きがある。

また博士の視点で言えば、サーカディアンリズムが整っている限り、我々は健康長寿でいられるとのことだ。

【改めてサーカディアン】

サーカディアンとは、吾人の好きなラテン語で「サーカ;Circa」は“およそ・だいたい”(Around)、「ディエム;Diem」は“日”(Day)を意味する。

これまで個人的には、サーカディアンリズムはヒッピーやニューエイジのまやかしものとの先入観が強かったが、ケトンやカーニヴォーなどのポッドキャストを聴いていると、真面目にサーカデイアンリズムを語っているので、改めて体内時計を勉強してみたら、これがなんと、れっきとした科学であったのだ。

以前のブログ「睡眠と魚食」で、人のサーカディアンリズムは25時間周期と紹介したが、正確には24時間15分ほどで、この人間のサーカディアン周期と日照周期とのズレを調整するには、朝起きて「陽の光を浴びる」ことと共に、最初の食事から12時間以内に最後の食事をする「TRE」と、「運動」がリズム調整をする主な要因である。

季節によって日照時間が変わることを受けて、我々の遺伝子だけではなく、ほとんどの生命体に宇宙との調和を整える機能が生命誕生以来、地球の自転と共に培われてきた。

植物におけるサーカディアン時計は、1729年にフランスの地球物理学者によって発見されたが、人間の生物時計は1938年にマッドサイエンティストによって発見された。

これは、シカゴ大学のナザニエル・クレイトマンが、生徒のブルース・リチャードソンと共に、ケンタッキー州の地下42.5メートルの陽の光が届かないマンモス洞窟に1カ月間籠り、体温や体内時計などを調査したもの。

生徒のリチャードソンは20歳で睡眠周期は28時間、クレイトマン博士は43歳で24時間周期であったとのこと。https://www.the-scientist.com/foundations/cave-dwellers-1938-33966

24時間15分とのサーカディアン周期は1970年代に定義されたようだ。

またこの1970年代までに、全ての臓器や組織、細胞には独自のサーカディアン時計が存在することが発見され、体内時計システムを全て統治するマスター時計の位置も確認された。

その位置とは、目からの神経線維が交差して脳に入る脳の底部で、SCN;Suprachiasmatic nucleus=視交叉上核と呼ばれる、2万個のニューロンが存在する小さな部分であった。

パンダ博士の言を借りれば、このマスター時計はオーケストラの指揮的な機能があり;

「オーケストラでは、各ミュージシャンは自分の音符を読み、自分の楽器を演奏しますが、指揮者から手がかりを取り、同期して演奏します。」

とマスター時計が各細胞レベルでのリズムを整える働きをわかりやすく説明している。

各臓器はそれぞれ独自の時刻表を持っていて、例えば、心臓での脈拍が上がる同じ時間帯に肝臓も酵素を分泌するというのではなく、1時間遅れで肝臓でのタイマーが鳴って起動するというように、独自のリズムを保って全体の調和をもたらす仕組みになっている。

2017年には、3人の科学者がショウジョウバエのサーカディアンリズムの仕組みを解明したとのことで、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことは知る人ぞ知ることであろう。

彼らは時計遺伝子であるPer遺伝子(Period)とタンパク質を発見し、これらが暗闇の中でも起床と就寝のリズムを司る鍵であることを証明した。

2002年にパンダ博士の研究グループと他の2グループが感光色素メラノプシンというタンパク質を発見し、このメラノプシンが網膜細胞に存在する限り、盲目の人でも光を感知してサーカディアンリズムを調整することを明らかにした。

https://blog.mycircadianclock.org/what-are-circadian-clocks-where-are-they-and-how-can-we-nurture-them/

サーカディアン時計の解明は日進月歩の勢いであり、その理解が深まるほど人の一生に如何に影響を与えているか、または全生命の生老病死自体がサーカディアンリズムに則っているとの印象が強まる一方で、個人的には、まるで占星術と重なってしまう面白さが窺えられる。

【コーヒー】

各臓器や組織には独自のリズムがあるように、我々個人にも独自のリズムがある。

また、年齢によっても周期が異なる。

先のマッドサイエンティストの例で見られる通り、20歳のリチャードソンは28時間であり、43歳のクレイトマン博士はほぼ24時間周期を示していたことから顕著である。

幼少年期と思春期にもリズムの違いがあり、殊に10代の娘がいる吾人にとっても大いに勉強になったことは、思春期のリズムは成人よりも2時間ほどの時差があるようで、成人の朝7時は思春期にとっては朝5時であり、一見して思春期の娘は夜更かしをしやすく朝は遅くまで寝る習性であるが、これこそが思春期のサーカディアンリズムであるということだ。

この違いを考慮して、アメリカでは中学高校の登校時間を10時に変えるべきとの検討策も浮上してきているほどだ。

今思い出せば、10代の頃の吾人も娘と似たような習性で、ケトジェニック・ダイエットを始めるまで夜型人間だと信じていたが、10代の頃のそれはサーカディアンリズムであり、20代30代の夜型指向は単なるサーカデイアンの乱れであったのではないかと思い当たった。

また高齢者は早起きが多く、一見して睡眠時間が減るものと思われがちだが、実際には他の成人と同じ7-8時間の睡眠時間が必要である。

高齢者の早起きは、早寝早起きという単に習慣付いたものであり、もしも睡眠時間が減るというケースは睡眠障害である可能性が高いとの意見もある。

人それぞれサーカディアンリズムが違うように、その人によってダイエットやライフスタイルも違うものだ。

パンダ博士はMy Circadian Clockという調査を兼ねたアップを作り、1日3食の6時間窓口+12時間不食と18時間不食のTRE例を紹介され、吾人は独自の色付けをして朝10時に最初の食事をし、夕刻4-5時に最後の食事をして18時間不食を計画したが、朝に思いっきり食べた時点で落第してしまった。

普段は16-18時間のIFで、朝11時か昼1時に最初の食事をし、夜7時に最後の食事をするもので、カロリーは低めであろう気にせず数えたこともなかった。

冒頭で触れたように、その日に摂取したいカロリーの半分は補っておこうと重めの食事をしたことによって、真っ赤に焼ける症状に苦しんだと理解している。

TREとIFの違いは、TREは朝起きてから水以外に最初に口に入れたものからカウントダウンが始まる。

IF では緑茶やコーヒーは勘定されないし、飲んでも細胞のリセット効果にはなんら影響を及ぼさないとされているし、逆にマウス実験ではあるが、コーヒーに含まれるポリフェノールは断食時に肝臓・筋肉・心臓のオートファジーを増加させたとの研究があるほどだが、TREではコーヒーでも緑茶でも肝臓が代謝を始めるので、サーカディアン時計が稼働するとしているのだ。

また、パンダ博士はコーヒーに関しては肯定的ではなさそうで、まるで純粋な肉食者と重なってしまう頑なさを内に秘めている。

カフェインを摂取することによって、40分のサーカディアン時計の延長が見られ、カフェインを摂取すればするほど、睡眠時間に遅れが生じ内時計に狂いが生じるとのことだ。

しかしながら、TRE+断食時のコーヒー摂取に関して興味深い研究がある。

1つは乳がんの寛解期の女性たちに、11時間窓口のTREと13時間のIF+コーヒーを施したところ、36%の再発防止に繋がり、もう1つの調査は、糖尿病患者に4-8時間窓口のTREと不食時にコーヒーを施したところ、血糖値の改善と減量が顕著で、18%のカロリー摂取減が見られたというもので、断食時のコーヒーは健康促進に繋がる報告が多く、このことから決して忌み嫌うものではないとの結論に帰結する。

吾人のように朝起きにレモン水を飲み、最初の食事までにコーヒーと緑茶をすする者にとっては、このTREは時間的にも心理的にも不可能なものだ。

朝6時にレモン水を飲んだら、夕6時までに食事を済ませなければならず、1日2食で2000-2500キロカロリー摂取は1食毎にステントに響くし、食事数を分散すればなにかタガが外れて、つい糖質に手が伸びやすくなってしまうものだ。

このことから、16-18時間の不食+2回のケトン食(魚・肉食系またはMEC食系)が個人的に最適であることを再確認し、TREは時間の融通が利く週末か休暇に使える道具であるとまとまりが付いた。

【運動とサーカディアン】

パンダ博士の著書『The Circadian Code』の7章の始まりは、運動に関して拍手喝采を送るほどの見解を述べている。

身体活動は健康において、睡眠と栄養と並んで重要なものであることから始まり、筋肉量を増やし、筋力を付け、骨の健康、運動調整、代謝、胃腸機能、心臓の健康、肺活量、脳機能を活性する働きがあり、何よりも運動にはサーカデイアン効果があり、睡眠と気分の改善をもたらし、運動は最高の薬(筆者意訳)

と軛を打っている。

ここでは運動後に、筋肉の細胞がインターロイキン15;IL15を生産することを紹介し、IL15は骨密度を増やすことと同時に、ウサギ実験で少量のIL15を注射したところ、より良く深い睡眠を得たとのこと。

インターロイキンとは細胞が分泌する生理活性蛋白質;サイトカインで、IL15はキラーT細胞を活性化する働きもあるようだ。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%83%B3

次に運動はイリシンというタンパク質を分泌し、睡眠を助けると言う。

イリシンは肥満抑制に効果があるようだ。https://health.joyplot.com/HealthWordsWiki/?%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%B3

ここで結論を急げば、運動不足が睡眠不足に通じると言えるが、逆に視点を変えれば睡眠不足が運動不足の効果を呼ぶ症例もあるものだ。

「短い睡眠は短い人生」と繰り返す本『Why We Sleep』によれば、睡眠不足は太りやすくなるとある。

人実験で、睡眠時間4-5時間と8.5時間の2グループを、食事や運動量など同条件下で調査をしたところ、睡眠時間4-5時間グループはレプチン(満腹ホルモン)分泌が減り、グレリン(空腹ホルモン)が増えたとの、ホルモンバランスの崩れを発見した。

また他の実験では、睡眠不足はエンドカナビノイドという脳内マリファナ類似物質が分泌され、俗に言われるマンチーズ;munchies という発作的に食べまくる食欲旺盛な衝動食い現象が起きたとのこと。

また、これらの書籍とは別にの研究報告によれば、筋トレ後の睡眠不足は、筋肉の回復力が減ると同時に、筋肥大も減少するとのデータもあり、パフォーマンスや持久力も落ちるのである。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21550729

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2657963

睡眠不足による弊害を挙げれば、なんだか塞いで落ち込んでしまうほどの量と内容であるので、ここでは敢えて紹介はしないが、美容と健康のためには、「食事」「運動」「睡眠」のトリニティーが鍵であり、柱であることはパンダ博士が主張するものであり、吾人も信じている点である。

【ケトンと寝つき】

前回のブログの冒頭で、糖代謝の時は寝つきが悪かったと記したが、このサーカデイアンリズムの視点で、寝つきの悪い理由が説明できる。

パンダ博士はケトン体に関しては肯定的であるが、TREの推進に際しては従来の1日3食・糖質主食の観点で、その効果を強調されている。

いくつかの博士の講演を視聴すれば明らかであるが、サーカデイアンリズムの整った糖代謝の健常者の場合、寝る数時間前からグリコーゲン貯蔵が減り、寝る頃から糖代謝→脂肪代謝と移行して、夜中にケトン代謝になるとのこと。

この脂肪代謝がより良い睡眠をもたらすという理論である。

 https://www.youtube.com/watch?v=erBJuxVR7IE

https://www.youtube.com/watch?v=wrP78K1objc

ケトン代謝時は寝つきが良く、よく眠れるのはこのことであったのだと頷けられ、糖代謝時に寝つきが悪かったのは、TREではなく、寝る寸前まで何かを食べていたことが思い当たる。

また肉食時に睡眠時間が減り、減った割には私生活に支障が無かったのは、睡眠の質が良かったのだろう。

先に紹介した『Why We Sleep』の「短い睡眠は短い人生」のフレーズに反するかもしれないが、ひょっとしたら肉食に関しては研究調査が少ないため、上のフレーズは将来、的を獲たものであるかもしれないが、糖を代謝しているかケトンを代謝しているかで、眠りの質は変わるものだと信じている。

もちろんケトン代謝には無駄が無く、睡眠の量よりも質が重点であると思うのだ。

【TREの効能】

パンダ博士の著書の最終章では、TREは;

・体脂肪率を減らし、除脂肪率を増す。

・正常な血糖値。

・正常なコレステロール値。

・心配機能の改善と不整脈減少。

・炎症の減少。

・健康な肝臓。

・癌罹患リスクの減少とより良い治療結果。

・良質な睡眠。

・持久量の増加。

・健康な腸内細菌。

・規則的な排便。

・健康な腎臓機能。

・より良い運動調整機能。

と、さながらケトン体の効能を聞いているような内容である。

しかし、さらに驚くことは、時間制限さえすれば、糖質食であろうが上記の効能が得られるというおいしい結論であることだ。

個人的には、ケトン体作用における頭脳の明晰さと坦々とした持久力、落ち着いた感情が好きなので、吾人は死ぬまでケトン人であろうが、週末や休暇には、このTREを利用してのハイブリッド・ライフスタイルを行っていこうと、新たな方途が得られた。

【参考資料】